SDGsの普及にともなって、「フェアトレード」も注目されるようになりました。持続可能な社会、貧困・飢餓の撲滅をしていくためにはフェアトレードが欠かせません。
実際にフェアトレードで輸入された商品を購入することで、私たちの日常生活の中でも取り組みに参加することができます。
この記事では、フェアトレードについて基本をお伝えしていきます。企業も消費者も取り組むべき課題の一つとして、フェアトレードについて考えていきましょう。
フェアトレードとは、開発途上国で生産される原料や製品を適正な価格で継続購入し、生産者と労働者の生活改善・自立を目指す貿易の仕組みのことです。
直訳すると「公平・公正な貿易」という意味になります。
安く仕入れて安く売ることは私たちの生活にとっても助かることですが、その価格は適正かどうかを考えなければいけません。
生産者や労働者の生活が困難になってしまうような取引を行うのはいけないことであり、持続可能な価格での取引を守っていく必要があります。
フェアトレードが始まった背景には、不公平な貿易や開発途上国の劣悪な労働環境・貧困があります。他にも児童労働や強制労働といった問題もあります。
歴史を紐解けば、昔植民地化された地域の人々が安い労働力として働かされ、大量生産の仕組み
ができたところまでさかのぼります。その後、植民地化も終わって国として独立していきましたが、その労働体制は続き国の間で格差も開き続けてきました。
そして、2013年に起きた劣悪な環境が招いた「ラナ・プラザ崩落事故」をきっかけに世界中でフェアトレードが特に注目されるようになりました。
フェアトレードが認められた製品には、認証ラベルが与えられます。
認証ラベルはフェアトレード製品を選ぶ際の指標となるため、どのようなラベルがあるかを知っておくことが大切です。
国際フェアトレードラベル機構(FLO)によって付与されるラベルです。
FLOが定めたフェアトレードの基準が守られていることを示したラベルで、農場から認証製品として出荷されるまで物理的トレーサビリティが可能であり、認証原料100%からなる製品に表示されます。
他にも非認証原料を含む製品のラベルや、複合材料製品の中に含まれる認証原料を表示するラベルもあります。
世界フェアトレード機関(WFTO)は団体や組織そのものが加盟するネットワーク機構となっています。
FLOの認証ラベルは製品に対してですが、WFTOの認証ラベルは基準を満たしている団体に付与されます。2014年よりWFTOの指針を守って作られた製品にもラベルをつけられるようになりました。
もとは手工芸品を中心とする団体として発足した機関であるため、判断の難しい手工芸品やファッションでもフェアトレードの基準を設けることができました。
今のところフェアトレードの基準となる法律はなく、企業・団体で独自のフェアトレード基準を設けて認証ラベルを作ることができます。
そのため、独自の基準でフェアトレードを行なっている企業も珍しくありません。FLOやWFTOよりも厳しい基準を設けている企業もあります。
国際フェアトレード基準とは、FLOによって定められた基準です。2024年9月6日現在の基準は以下の3原則です。
WFTOはフェアトレードに関して10の原則を設けています。
出典:World Fair Trade Organization『Our 10 Fair Trade Principles』
国際フェアトレード基準でフェアトレードの対象とされている製品をご紹介します。
コーヒー |
焙煎豆 |
生鮮果物 |
バナナ、りんご、アボカド、ココナッツ、レモン、オレンジ、ワイングレープ |
カカオ |
チョコレート |
スパイス・ハーブ |
スパイス:バニラ、クミン、コショウ、ショウガ、シナモンなど |
蜂蜜 |
蜂蜜 |
ナッツ |
カシューナッツ、胡桃、アーモンド、マカデミアンナッツ |
オイルシード・油性果実 |
ごま、オリーブ、大豆など |
加工果物・野菜 |
ドライフルーツ、フルーツジュース、ドライ野菜 |
サトウキビ糖 |
砂糖 |
茶 |
紅茶、緑茶など(※ルイボスティーはハーブに分類) |
野菜(豆類・ジャガイモ等を含む) |
ピーマン、メロン、ジャガイモ、ひよこ豆、レンズ豆など |
穀類 |
米、キヌアなど |
繊維 |
コットン |
花 |
バラ、カーネーションなど |
スポーツボール |
サッカーボール、フットサルボールなど |
金 |
金 |
まずはフェアトレードについて知ることが大切です。解決すべき問題は何か、どうしたらフェアトレードの取り組みに参加できるかということを考えてみましょう。
消費者としてできる取り組みとして最も簡単に実行できることは、フェアトレード製品を購入することです。
認証ラベルのついた商品を購入する、あるいは普段自分が買っている製品の中にフェアトレード認証されたものがないか調べてみることをおすすめします。
加えてイベントに参加してみることも取り組みの一つです。フェアトレード関係のイベントへ参加してみると新しい発見があるかもしれません。
原料や調達製品がフェアトレードに該当するかどうか見直すことが大切です。フェアトレードの取り組みができそうな部分があれば始めてみることも大切です。
また、自社製品のフェアトレード認証を目指すのは大きな取り組みです。簡単ではないかもしれませんが、一つの課題として取り組むこともおすすめです。
機関が定めている基準でなくても、自社でフェアトレードに関する基準を作り、実践していくという方法もあります。
ファトレードについて知っていても、実際に行動に移していないということが多いようです。
まだ浸透しきっていない取り組みのため製品数はそれほど多くなく、価格も他の商品に比べて高価になりがちという側面もあります。
大切なのは少しでもフェアトレードに参加するという意識です。
確かに毎日購入というのは現段階では難しいかもしれませんが、1週間に1度購入してみるなど、価格だけではない価値を大切にするのも必要ではないでしょうか。
実態がともなっていないのに、「環境に良い」「SDGsに貢献できる」などサステナブル商品であることを訴求して販売することをグリーンウォッシュ、SDGsウォッシュと言います。
実際に海外ではグリーンウォッシュを規制する法律も定められたこともあり、こうした見せかけの商売は今後さらに厳しく取り締まりをされていくと予想されます。
フェアトレードも普及するにつれて、フェアトレードを騙る商品が発売される危険性もあるので情報の取捨選択はしっかり行いましょう。