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食品ECとは?重要なポイントと小売業ならではの戦略も解説

作成者: 中部流通|2024.07.12

ECでの買い物が当たり前となったいま、食品をネットで買う方も増えてきているのではないでしょうか。

様々な分野のECがあるなか現状食品のEC化率はまだ高くありませんが、食品のECに注目する企業も増えてきているため今後成長が期待されている市場でもあります。

この記事では食品ECについての基本的な情報や成功のための重要なポイント、小売業ならではの戦略をご紹介します。

食品ECとは

食品ECとは、加工食品・生鮮食品をインターネット上で販売・配送するEコマースのことです。

また、食品ECは一般的な食品EC・ネットスーパー・定期配送の食品ECに種類を分けることができます。

食品の販売業者がAmazonや楽天といったモール型ECや自社ECで食品の販売を行うのが一般的な食品ECです。メーカーが消費者に自社ECを通して直接販売するD2Cもここ最近増加傾向にあります。

ネットスーパーとは、スーパーマーケットがECで注文を受け、自社の店舗から配送するECのことです。近くの店舗から配送されるため、最短で食品を受け取ることができます。

定期配送の食品ECとは、定額料金を払うことによって定期的に食品を受け取るECのことです。いわゆるサブスクリプションです。解凍するだけですぐに食事のできるミールキットやヘルシーなお菓子などが人気です。

食品ECとは

EC全体の市場規模

参照:経済産業省「電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました」

2022年の市場規模は22兆7,449億円でした。
前年と比べても2兆円ほど伸びています。

ECの市場規模は年々伸びているため、好調な市場であり、今後も多くの企業が参入してますます市場の成長が見込めるでしょう。

食品ECの市場規模

好調な市場ですが、食品に焦点を当ててみると未熟な市場であるとも言えます。

参照:経済産業省「電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました」

2022年における食品、飲料、酒類の市場規模は2兆7,505億円ですが、EC化率としては4.16%にとどまっています。

EC化率が50%を超える書籍、映像・音楽ソフトや、40%を超える生活家電、AV機器、PC・周辺機器等と比べるとまだまだ低い数値となっています。

食品ECの課題

消費者が鮮度確認できない

ECでは直接商品を見ることができないため、食品、特に生鮮食品は鮮度確認ができません。

スーパーマーケットの運営するネットスーパーであっても、お店にある食品がピッキングされるため、届くまで実物の確認ができません。

食品の場合、商品を手に取って確認したいという消費者はまだまだ多いのではないでしょうか。

利益が低い

EC化率の高い家電などと比べて、食品は単価が安く、そこにEC運営のための費用も加わるため利益が出しにくいです。

注文と在庫の管理、食品を痛めない衛生的で保管のできる倉庫、ピッキングや人件費といったように様々なコストがかかります。

元々の単価が低いためコストの反映をさせにくい、利益が出しにくいという課題があります。

食品の流通が整っている

日本では新鮮な食品を提供するスーパーが身近にあり、24時間営業のコンビニもあるため、食品を簡単に購入することができます。

すぐに食品が欲しいと思えば、近くのお店に買いに行けば簡単に手に入ります。

ECを利用すれば自分で買いに行く手間は省けますが、現状、それ以上に自分で買いに行った方が良いというメリットの方が大きいと感じる方も多いのではないでしょうか。

食品ECを取り組む代表的な企業

Amazon

Amazonでは他ジャンルの商品と同様に食品の販売を行なわれており、出品者がAmazonを利用していることもあります。

また、Amazonフレッシュというサービスも2017年に始めています。生鮮食品、日配品という私たちの日常に欠かせない食品を扱うECです。

自社センター以外にもスーパーマーケットと提携することで、そのスーパーから食品を配送するということを可能にしています。

イオンネットスーパー

大手小売企業のイオンはネットスーパーを運営しています。

ネットで注文をすることによって自宅に近い店舗から食品が届きます。ネットで注文を行い、専用ロッカーやドライブピックアップで受け取りをするという方法も選ぶことができます。

実際に運営しているお店が倉庫の代わりになるという、実店舗ならではの強みを活かすことができるのもネットスーパーの特徴です。

オイシックス・ラ・大地

オイシックス・ラ・大地は自社ECのOisixで食品のネット販売を行なっています。

ミールキットをはじめとして、チルドや生鮮など食品をサブスクでユーザーへ届けるサービスを展開しています。

特に農産物では、バイヤーが選んだ野菜とフルーツを週替わりで提供するサービスや、規格外・作りすぎた野菜をリーズナブルに提供するサービスを行なっています。

食品ECを成功させるための重要なポイント

そこで買う理由があるかどうか

前述の通り、まだまだ食品はお店に買いに行った方がメリットは大きいです。
ECで買い物をしてもらうためには、やはり欲しい商品があってそこでしか買えないということも重要になってくるのではないでしょうか。

目的買いのためにプライベートブランドやオリジナル商品の開発は強みになります。

また、SNSでの情報発信など、ネット上のカスタマーエクスペリエンスに関係する取り組みも強化していく必要もあります。

ラストワンマイル

ラストワンマイルとは、商品が最終拠点から消費者・エンドユーザーに届くまでの配送のことです。

数あるECの中から自社を選んでもらうためには、ラストワンマイルにおける配送スピードなどサービスが差別化の鍵となってきます。

そうなるとラストワンマイルが重要視されているのも当然の流れとも言えます。ラストワンマイルはカスタマージャーニーに入っており、カスタマーエクスペリエンスを向上させるためには改善が必要不可欠です。

使いやすさの向上

ECの使いやすさも重要です。

例えばユーザーがサイトに辿り着いてから商品を買うまでのページ遷移数は、少ないほどストレスが少なくなります。

他にもページの見やすさや、商品の探しやすさなども使いやすさに関係します。使いにくいサイトであれば、それだけでユーザーが離脱してしまう可能性があります。

実店舗で例えるなら欲しい商品が置いてあるのに、場所が分かりづらく店員の姿もなかったので帰ってしまったといったところだと思います。

サイトの使いやすさやユーザーの体験に関することはUI/UXデザインと呼ばれています。

小売業ならではのオンライン戦略

小売業の強みは何といっても実店舗を持っているというところです。オンラインであるECとオフラインである実店舗の両軸で事業が展開しやすくなっています。

つまり、オンラインとオフラインの融合です。

現在中国では、ニューリテール(新小売)と呼ばれる新しいかたちの小売が勢いを増しています。オンラインとオフラインを融合させた新しい買い物体験になります。

例えば、商品のコードを読み取りその場で情報を確認できたり、店内で買った生鮮食品をレストランで調理してもらったりとエンタメ的に買い物を楽しむことができます。

もちろんオンライにも力を入れており、ECで注文を受けてからのスピーディーな配送も実現しています。

このようにオンラインとオフラインを融合させた戦略を取ることで、普通の食品ECとは違った体験をユーザーに感じてもらうことができるのです。