商社という業種は誰しも聞いたことがあると思いますが、その事業内容を具体的にイメージすることは難しいかもしれません。
商社と一言で表しても事業内容は多岐にわたり、「ラーメンから航空機まで」という言葉がある通りあらゆる分野に関わっています。
私たちが日常生活を送る上で身近に存在するメーカーや小売業と違って、それほど身近に感じることのない商社ですが、私たちが豊かな暮らしを送るためには欠かせない存在です。
実際に日本の流通や経済において、商社はとても大切な役割を担っています。
この記事では商社について事業内容や社会に与える影響、就職するメリットを解説します。商社について理解を深め、流通の仕組みの理解や就職活動に役立てましょう。
商社とは、自社の商品を売りたい企業とその商品を買いたい企業の取引に仲介し、安定した販売と調達をサポートする業種のことです。
国内外問わず原材料や商品を調達し販売する商社は、顧客の要望に沿った商品を紹介したり、時には顧客の代わりに仕入先を探します。もちろん販売先を探す場合もあります。
他にも金融機能・保険機能、インフラ整備や医療などサービス事業にも関わる商社も存在します。
総合商社とは、取り扱い商品を限定しない商社のことです。
また商品の流通はもちろん、金融機能や情報提供などサービス業もおこなっていて、まさにありとあらゆる総合的な事業をしています。
規模が大きくなれば、メーカーへ資金や機械などの導入を行い、生産した商品を幅広く流通させるといった投資も可能です。
さらにさかのぼれば、メーカーで生産する商品の原材料だって国内外を問わず仕入れることもできます。
専門商社とは、特定の分野の商品だけを扱う商社のことです。
食品やアパレル、金属や機械部品など様々な分野の専門商社が存在します。
専門商社は取り扱い商品に対する深い知識や、その分野の広いネットワークを持っています。
総合商社と違い、商品の売買であるトレード業がメインになります。
トレーディングとは、商品を仕入れて販売することです。
もちろん、ただ単に取引の間に入って商品を右から左に流すのがトレーディングではありません。
顧客のニーズを満たす商品を販売すること、その商品に関わるアイデアや企画、情報の提供といった付加価値も一緒に提供しています。
また、普通だったら仕入れることのできない商品を商社が取り扱うことで仕入可能になるというように、流通のサポートもトレーディングの役割です。
海外の商品を日本に流通させることも商社の大切な事業です。
海外拠点を有する商社も多く、現地の企業と直接交渉ができるためスピーディーに取引を行うことができます。
日々変化する世界情勢や、災害・事故といった万が一の環境変化に備えて最新の情報を仕入れ、必要に応じて提供していくことも求められます。
商品のトレーディングだけでなく、投資を事業として行うこともあります。
商社のグループ企業となっている小売企業やメーカーがあり、そういった企業に資金力のある商社が投資をすることでより事業を拡大していくことができます。
また、投資と少し違いますが、外国為替取引など金融業を行う商社もあります。
商社そのものの起源は、江戸時代に坂本龍馬が設立した亀山社中という海運会社だと言われています。
それでは商社の中でも耳にする機会の多い大手総合商社は、いままでどのような歴史を歩んできたのでしょうか。
もとは三井財閥として形成された三井物産が最も歴史ある商社です。
最も古い財閥は住友財閥ですが、商社として住友商事になったのは財閥系商社の中でも遅かったのです。
高度経済成長、バブル崩壊といった時代を乗り越えながら成長してきた商社は、いまや巨大な市場となっています。
しかし、商社機能を持つメーカーがいること、インターネットの普及によって情報が簡単に手に入り、取引が以前よりも簡単になったことから商社不要論が唱えられていることも事実です。
そういった厳しい声がある中でも商社は成長し存在し続けています。
付加価値のあるトレーディングや投資など、商社のビジネスは日本にとって欠かせないことは間違いないでしょう。
就職先でも人気のある商社ですが、実際に働くとどのようなメリットがあるか解説いたします。
商社で働いている人は様々な業務をこなしています。
部署ごとで仕事内容に違いはありますが、どの仕事においてもお客様や仲間とのコミュニケーションは欠かせません。
商談やプレゼンの機会も多いため、マーケティングや発想力といったアイデアを生み出す力も身に付きます。
時には大きなプロジェクトに参加することもあり、責任ある役割を任せられるようになります。
商社は海外から商品を調達するために輸入を行なったり、現地へ赴いて交渉を行なったりします。
語学が得意な方は、海外と関わりのある仕事を任せてもらえるかもしれません。
場合によっては海外出張ではなく、海外赴任として数年間現地で働くという可能性もあるためグローバルに活躍できるチャンスは多いです。
仕事内容が多岐にわたる分、関わる人も多くなります。
お客様のご要望に応えるために仕入先を探すこともありますので、新規取引先開拓やリサーチによって交流の機会はさらに増えます。
様々な分野の人と交流をすれば、間違いなく視野は広がるでしょう。また、幅広い知識を学ぶこともできます。
商社は日本の流通を活性化するためには欠かせない存在です。
日常の暮らしの中であまり目にする機会はないかもしれませんが、実は普段購入している商品に使われている原材料や、お気に入りの海外製品は商社が輸入してきたものかもしれません。
まさに私たちの目に見えないところで日本を支えている「縁の下の力持ち」です。
ぜひ商社について知識を深め、日本の流通の理解や就職活動に役立てましょう。