小売業でも人手不足という声は大きくなる一方です。
2023年10月に帝国データバンクが報じたデータによれば、全国の食品スーパーの3割が2022年度時点で赤字となっており業績が悪化しています。
各方面での値上げもあり、苦しい状況が続いています。苦境を乗り越えて売上、利益を上げるためにも人は欠かせません。また、ここにきて人員確保のために様々な対策をとる企業も増えています。
この記事では、人手不足解消のためにできる対策をご紹介します。これからの時代に適した次の一手を考えていきましょう。
まず大前提として働き改革自体が人手不足につながるものではありません。
しかし、残業時間の削減により人手不足の中では厳しいと感じることが多いと思います。その結果、人手不足という状況をより重く感じてしまうのではないでしょうか。
働く時間を見直しても、仕事量が減るわけではありません。短い時間で業務をこなすにはこれまで以上の効率が求められます。
*データ元…厚生労働省『一般職業紹介状況(令和5年11月分)について』
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_36989.html
上の図は、厚生労働省がハローワークにおける求人、求職、就職の状況を指標として取りまとめたグラフです。
折れ線グラフで表された有効求人倍率が1.0を上回れば求人の方が求職よりも多い売り手市場になります。つまりグラフから分かるように、現在は売り手市場です。
そのため求人を出しても人が来ないという状況も十分あり得ます。人員を確保するためにWebサイトやSNSを利用して自社をアピールするなど、これまでとは違うやり方をしている企業が増えています。
*データ元…厚生労働省『我が国の人口について』
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_21481.html
少子高齢化も人手不足の原因です。上の図は日本の人口ピラミッドの変化予想ですが、働き手となる15〜64歳の人口、しかも若くなればなるほど人口が減っています。
出生率も減少傾向にあるため、そもそも生まれる人が少なければ将来の人口が減ってしまうのは必然的です。
人手不足に拍車がかかる可能性はとても高く、加えて人口が減ると消費・売上も減るため市場規模の縮小にも注意が必要です。
少ない人数で業務を回すためには、効率化が必須です。
小売業の場合バックヤードにおける作業や陳列、レジなど人員がかかる場所はたくさんあります。レジはセルフレジやセミセルフレジの導入により省人化が進んでいるのをよく見かけますが、その他はどうでしょうか。
調理が簡単にできる厨房機器や在庫管理の効率化、温度管理の自動化など減らすことのできる作業は様々です。
人手不足解決のための効率化は、人が必要だった業務を人が行わなくてもよくなる、あるいは作業量が減るという視点で実施することをおすすめします。
仕事内容と同じくらい職場の雰囲気や福利厚生を重視するという人も増えてきています。仕事とプライベートのオンオフをしっかり切り替えたいという声も多いです。
長時間労働や連続した勤務を避け、働きやすい環境をつくることが大切です。
こうした従業員の生活をしっかり考える企業も増えていきているため、悪い労働環境のままでは人員の流出もあり得ます。
幅広い人材を雇うことも人手不足解決になります。シニア層や海外からの従業員など、普段と違う雇用形態を設けるのも有効的な手段です。
少子高齢化もあり、シニア層は今後増加していきます。経験豊富なシニア層は即戦力として活躍できます。
セルフレジとは、バーコードの読み込み・会計操作・袋詰め全てをお客様が行うレジのことです。有人レジの場合、バーコードの読み込み・会計操作はレジ係が行います。
セルフレジは通常のレジよりコンパクトにできるため限られたスペースでも何台か設置することができます。万引き防止やトラブル対応のため従業員が側にいることは求められますが、それでも1人で対応が可能です。
またセミセルフレジというバーコードの読み込みだけレジ係が行い、以降の操作をお客様が行うレジもあります。
スマートショッピングカートとは、スマホ・タブレット・端末を取り付けてスキャン機能を持たせた買い物カートのことです。
商品をカゴに入れるたびに商品をスキャンします。カートに取り付けた端末はレジのように合計金額や商品情報を表示し、買い物をスマートにしてくれます。
レジの待ち時間が減るのはもちろん、カゴに入れた商品と連動した販促の表示などパーソナライズ化した買い物体験を提供することができます。
最近では24時間営業が当たり前だったコンビニでも、営業時間を設けることがあります。
無理なく営業していくためには、思い切って営業時間を短縮するというのもありかもしれません。
特にスーパーマーケットでは冷ケースや店内照明など至る所で電気を使用しているため、電気代の削減にもなります。
AIを利用することで商品の売れ行きなどのデータから需要予測をすることができます。精度の高い需要予測ができればチャンスロスがなくなり、過剰在庫もなくすことができます。
AI開発にはPythonというプログラミング言語が向いていると言われています。もちろん他の言語でもAI開発は可能ですが、いずれにしても専門的な知識が必要です。
データサイエンティストを自社で雇う、AI開発を行っている会社に委託するという方法を取ることもできます。
実際にPythonを使用して需要予測を行っているアパレル企業もあるため、かなり注目度は高いのではないでしょうか。
OMOとはECなどのオンイランとリアル店舗などのオフラインを融合させることを言います。
もっと簡単に表現すればネットとリアルの融合です。OMOはカスタマーエクスペリエンスの向上が目的です。
例えば来店時にお客様個人に向けたクーポンや情報をアプリで発信して購買促進に繋げたり、ネットで注文して店舗へ取りに行くというBOPISもOMOです。
コロナ禍でオンラインへの移行が進んだいま、OMOはかなり重要なマーケティング手法といえます。
スキマ時間を利用してバイトを行う人、バイトを雇う企業も増えています。バイトをしたい人とバイトを雇いたい人をマッチングさせるサービスやアプリも実際にあります。
面接をして一から雇うのではなく、アプリを介してその時間だけ雇います。アプリに求人を出してアプリから応募してきた人が働くというとても手軽な働き方です。
小売業界でも長らく人手不足は続いていますが、企業が成長していくために人は欠かすことができません。
様々な働き方が推奨され始めたいま、これまで以上に柔軟な採用体制が求められます。人材確保のためにも率先して新しい取り組みを始めてみてはいかがでしょうか。