いま世界中でウェルビーイングが注目されています。実際に私たちの生活の中でもウェルビーイングという言葉を聞く機会は増えたのではないでしょうか。
ウェルビーイングはもちろん食の世界にも届いています。
この記事では、ウェルビーイングの基本的な情報や、食とウェルビーイングにまつわるトピックについてお伝えします。
ウェルビーイングとは、身体的・精神的・社会的に良い状態であることを言います。
WHOの世界保健機関憲章前文では、ウェルビーイングが以下のように表現されています。
Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.
健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが 満たされた状態にあることをいいます。
出典:世界保健機関(WHO)憲章とは | 公益社団法人 日本WHO協会
健康と聞くと病気のない体の状態を連想しがちですが、ウェルビーイングはさらに広い意味を持っているのです。
加えてウェルビーイングには、良い状態が持続的であることも含まれています。そのために様々な取り組みが行われ、いま世界でウェルビーイングに対する関心が高まっています。
ウェルビーイングに対する関心が高まっている理由は、「価値観の変化」です。ウェルビーイングが重要視される価値観になってきているということです。
コロナ禍を経てライフスタイルが変わり、働き方や労働に対する考えも変化し、個人だけではなく社会全体として、幸せとはどういうことなのか見直されたのではないでしょうか。
個人のウェルビーイングを向上させることは、全体のウェルビーイングを向上させることにつながります。ウェルビーイングを重視した経営を行う企業もあり、今まさに意識が高まっている最中です。
ここでは、アメリカの世論調査・コンサルティングを行う企業であるギャラップ社が提唱したウェルビーイングの要素についてご紹介します。
出典:The Five Essential Elements of Well-Being
自分が人生でどのような時間を過ごしているか、毎日好きなことをできているかということです。
キャリアと聞くと仕事を連想するかもしれませんが、仕事だけではなく趣味や育児、学習など幅広い行動を含んでいます。
他者と強いつながりや愛があることです。つまり、友達や仕事の同僚、家族など円満な人間関係を築いている状態です。
自分だけではなく、お互いにウェルビーイングを高め合える関係であることが求められます。
満足のいく経済活動ができているという状態のことです。
給料や資産などを十分に稼ぐことができていることが大切で、また自分の好きなようにお金を使えているかということもファイナンシャル・ウェルビーイングに関わります。
良好な健康状態かつ日常をエネルギッシュに過ごせる状態のことです。
怪我や病気のないことはもちろん、健康的に過ごせる精神状態であることも重要です。生活の仕方や働き方に幸せを感じられるか考えてみましょう。
地域社会と深い関わりを感じられている状態のことです。
自分の住んでいる地域のコミュニティやイベントへの参加、企業のコミュニティへの参加などで地位社会とつながります。また、その行動で地域社会に貢献できているかどうかも大切です。
ウェルビーイングと食には深いつながりがあります。
当然のことではありますが食によって私たちの身体がつくられます。また、美味しいものを食べれば心も満たされます。
このように食によって私たちの健康や精神の状態は変化し、多くの人の健康や精神が良くなれば社会の状態もよくなっていきます。
ウェルビーイングであるためにも「食」はかなり重要な要素と言えるのではないでしょうか。
食による健康問題は世界規模で問題視されています。
現代の食は豊かになりましたが、食べ過ぎによって肥満が引き起こされたり、偏った食事によって糖尿病が引き起こされており、その治療に関するコストも巨額のものとなっています。
また、フードデザートも問題になっています。フードデザートとは、新鮮で健康的な食材を手に入れることが難しい地域のことです。
お店の少ない過疎地や所得の少ない貧困地域に多く、カロリーの高い加工食品に依存しがちになり、低栄養状態になってしまいます。
このような現状では全くウェルビーイングではありませんね。
食に関する健康問題を解決するためにフードテックが急成長をしています。フードテックとは食の技術のことで、「Food」と「Technology」を掛け合わせた言葉です。
フードテックの市場規模のポテンシャルはとても高く、将来的に世界規模で700兆円まで達するだろうと言われています。
フードテックに対する投資額も大きくなっており、2012年では31億ドルだったのが2022年にはおよそ10倍の296億ドルとなっています。2021年では532億ドルとさらに倍の金額にまで到達しました。
日本でも大手を中心に食品メーカーがウェルビーイングを推進し始めています。
ウェルビーイングに関する商品の開発や、ウェルビーイングに関するプロジェクトの立ち上げなど食とウェルビーイングを結びつける取り組みがされています。
また、経営自体にウェルビーイングの要素を取り入れている例もあり、製造する商品だけでなく会社そのものもウェルビーイングであることを目指しています。
健康食品が人気なのは言うまでもありません。青汁やプロテインのように私たちの健康をサポートしてくれる魅力的な食品があふれています。
ウェルビーイングにおいては、身体的な健康のほかに精神的・社会的にも満たされる必要があります。
食べることによって体が健康になり、心も満たされ社会的な意義も感じられるような食を目指していく必要があるのです。
例えば塩分が多く、味が濃くとても美味しいものを食べれば精神的に満足感は得られます。しかし、健康に悪ければやがて心も満たされなくなりウェルビーイングとは言い難いでしょう。
逆に不味いから食べたくない、食べるのが辛い。でもこれを食べることで塩分を控えることができて健康になるというのもウェルビーイングとは言えません。
ウェルビーイングであるためには、美味しく健康的な食事をするという「食」そのものを起点として、心がどう動くのか、社会的にどういう意味があるのかという「体験」まで提供することが理想的です。
最近は低糖質を売りにした食品が増えています。低糖質食品とは、その名の通り通常よりも糖質を抑えた食品です。なかには糖質ゼロの食品もあります。
特に低糖質のパンやお菓子は私たちに身近なコンビニでもよく見かけます。スーパーマーケットでは糖質が少ないおかずなどの食品も売っています。
糖質を控えめにしたサブスク型の冷凍弁当も人気があります。お手軽さに加えて健康志向というニーズを捉えオンラインでの展開に成功しています。
最適化栄養食とは、主要な栄養がバランスよく調整され、ウェルビーイングに慣れることを目指した食のことです。
実例として、日清食品から発売されている「完全メシ」は実際に最適化栄養食の認定を受けています。こちらの認定は一般社団法人日本最適化栄養食協会が栄養食であると認めた栄養食につけることができます。
最適化栄養食をお店で見かけたらぜひ一度手にとってみてはいかがでしょうか。