2024.07.26

カーボンニュートラルとは?背景や食品流通における状況など取り組みに役立つ情報をご紹介します

私たちが安心して暮らせる地球を維持していくためにも環境への取り組みは欠かせません。その中でもカーボンニュートラルは世界的に注目を浴びています。

2050年カーボンニュートラルに向けて世界中が動いています。企業としても、個人としても積極的に取り組みへ参加していく必要もあります。

この記事では、カーボンニュートラルの基本や食品流通における状況など、食に関わるすべての人に役立つ情報をご紹介していきます。

カーボンニュートラルとは?

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カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量の均衡を保つことです。「温室効果ガスの排出が全体としてゼロの状態である」という説明がよくされています。

例えば何らかの活動で温室効果ガスを1トン排出したのであれば、その1トンを吸収して実質排出をゼロにするというのがカーボンニュートラルです。

汚染物質といえばCO2のイメージが強いですが、温室効果ガスは他にもメタンなどを含んでいます。

2020年10月に、日本政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすることを目指すと宣言しています。

なぜカーボンニュートラルが必要?

温室効果ガスにより地球温暖化が進行すると地球の気温が上昇し、異常気象など悪影響を及ぼす気候変動が起こります。

全生物が安心して暮らせる地球を維持していくためにも温室効果ガスによる環境汚染を防ぐ必要があるのです。

他にもSDGsなど地球の環境を維持していくための取り組みは様々あり、カーボンニュートラルも私たちの地球を守るために必要不可欠な活動です。

脱炭素との違い

環境への取り組みとして脱炭素というキーワードもよく耳にします。

脱炭素は、CO2の排出量をなくすことを意味します。カーボンニュートラルとの違いは「温室効果ガスの排出と吸収を均衡させる」か「CO2の排出をゼロにする」かということになります。

意味こそ違いますが、どちらも地球温暖化を防ぐための重要な取り組みであることは間違いありません。

日本の現状

温室効果ガス排出量

日本の温室効果ガス排出量じゃ、2022年度で11億3,500万トン(CO2換算)でした。

前年2021年度の11億6,400万トンから2.5%の減少、9年前の2013年の14億700万トンから19.3%の減少となっています。

2022年の温室効果ガス吸収量は5,020万トンでした。排出の11億3,500万トンに対して吸収が5,020万トンなので、合わせて10億8,500万トンの排出・吸収量になります。

日本の温室効果ガス排出・吸収量のグラフグラフ参照・データ参考:環境省「2022年度の我が国の温室効果ガス排出・吸収量について」

カーボンニュートラルへの取り組み

2022年度は10億8,500万トンだった排出・吸収量を2050年までにゼロにしていく必要があります。

そのために日本もカーボンニュートラルの取り組みをたくさん進めています。

例えば、脱炭素事業に意欲的に取り組む民間事業者等に向けた出資制度や地球温暖化対策の見直し、成長が期待できる産業に高い目標を設定したグリーン成長戦略といった取り組みです。

他の取り組みや各取り組みの詳細、カーボンニュートラル実現に向けたロードマップも公開されており、下記のサイトで確認することができます。

国の取組 - 脱炭素ポータル|環境省

食品流通における温室効果ガスを考えてみる

どこで温室効果ガスが発生しているか

食品が生産されてから私たちが消費するまでの間に様々な温室効果ガスの排出要因が考えられます。

食品流通における温室効果ガス発生の原因

点と線での取り組みが大切

カーボンニュートラルを実現していくためには全体で取り組みを行うことが大切です。各事業所における取り組みが点、その取り組みを行う業者で構築されたサプライチェーンが線です。

もちろんこの流通の中には企業と消費者の関係も入ってきます。

企業として消費者に向けたカーボンニュートラルのアピールと、消費者としてカーボンニュートラルに取り組んでいる企業かどうか知っておくことは欠かせません。

各地点で個々に取り組みを行うのはもちろん、流通全体として成立しているか考えていくことが大切です。

企業としてできる取り組み

設備の省エネ化

省エネとは、エネルギー使用の効率化、エネルギーロスを減らすことです。そして、省エネ化は温室効果ガスを減らすためにはとても大切な取り組みです。

日本の温室効果ガス排出量は、エネルギー起源のCO2が全体の84%を占めています。

省エネの実施によってエネルギー起源のCO2を減らすことができれば、温室効果ガスの排出を大幅に減らす効果に期待できます。

参考:環境省「日本のエネルギー 2022年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」

再生可能エネルギーを使用する

再生可能エネルギーとは、太陽光発電、風力発電、バイオマスなど永続的に利用できるエネルギーのことです。

再生可能エネルギーは利用時にCO2を排出しません。

省エネ化と同様にエネルギー起源のCO2を減らすためにも積極的に行なっていくべき取り組みです。

温室効果ガスの吸収

カーボンニュートラルを目指す上で、温室効果ガス吸収の取り組みも重要です。

企業として、温室効果ガスを吸収する自然や技術の活用をすることができます。

例えば、木は光合成により大気中のCO2を吸収します。植林活動によって緑を増やしCO2の吸収量も増えれば、温室効果ガスの排出・吸収量をゼロに近づけるための貢献になります。

また、最近は発生したCO2を大気中に放出するのではなく地中に貯蓄する技術も注目を浴びています。

カーボンニュートラルのサプライチェーンを構築する

自社としてカーボンニュートラルの取り組みを行うことはもちろん大切ですが、自社の入っているサプライチェーン全体でカーボンニュートラルが意識されているか考えることも大切です。

カーボンニュートラルの取り組みを積極的に行っている企業と取り引きをする、プロジェクトがあれば参加していくという方法があります。

あるいはカーボンニュートラルを実現できるサプライチェーンを構築するという方法もあります。

関連キーワード

Farm to Fork 戦略

Farm to Forkとは、農場から食卓までという意味で、食品のサプライチェーン全体で環境や持続可能性への取り組みを行っていく戦略です。EUで打ち出されました。

食品ロスと廃棄の防止・持続可能な食料生産・持続可能な食品消費・持続可能な食品加工と流通の4つの柱が掲げられています。

フランスでは、指定された農薬の使用をやめた生産者への減税措置、スーパーマーケットが食品廃棄を行うことを法律で禁止するといった厳重な対策も取られています。

みどりの食料システム戦略

みどりの食料システム戦略は日本で打ち出された戦略です。

災害による不作や後継者不足による生産者の減少などの課題を解決し、食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現するという目的です。

2050年までに化学農薬の使用量を50%低減、耕地面積に占める有機農業地を25%に拡大するなどの数値目標が定められています。

食品流通のカーボンニュートラルにおいて知っておくべき戦略の一つです。

まとめ

カーボンニュートラルとは?背景や食品流通における状況など取り組みに役立つ情報をご紹介します

カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量の均衡を保つことです。

例えば何らかの活動で温室効果ガスを1トン排出したのであれば、その1トンを吸収して実質排出をゼロにするというのがカーボンニュートラルです。企業としてできる取り組みは、設備の省エネ化・再生可能エネルギーを使用する・温室効果ガスの吸収・カーボンニュートラルのサプライチェーンを構築するなどが挙げられます。

キーワード

  • カーボンニュートラル
  • 温室効果ガス
  • 2050年