食品パッケージはグラビア印刷で印刷されることが多いのですが、他にはデジタル印刷で印刷されることもあります。
それぞれメリット・デメリットがあり、適切な印刷方法を選ぶことで効率的な食品パッケージ制作が可能になります。
この記事ではデジタル印刷とグラビア印刷について解説します。デジタル印刷をパッケージ制作に活用していきましょう。
デジタル印刷・グラビア印刷とは
デジタル印刷とは
デジタル印刷とは版が不要のデータから直接印刷する印刷方法です。
版が不要のためグラビア印刷よりも納期が短く、版代もかかりません。データから直接印刷しているため、デザインを変えたい場合でも気軽に変更することができます。
デジタル印刷もCMYKのインクを用いて掛け合わせで色を表現します。グラビア印刷のようにインクを調合して特色を表現するということはできませんので注意が必要です。
グラビア印刷とは
グラビア印刷とは、凹版印刷の一種です。シリンダーと呼ばれる筒形の版に印刷するデザインを彫刻します。
そしてその版と無地のフィルムを専用の印刷機に設置して、インクを使いデザインを印刷します。
パッケージのサイズによっては一つの版に2面の彫刻をすることができるため、大量生産する時にはとても効率が良くなります。
また、グラビア印刷の特徴として色の鮮やかさがあります。デザインにシズル写真を使用しても、その再現性は非常に高いです。
グラビア印刷のメリット・デメリット
鮮やかな色で印刷できる
グラビア印刷の最大の特徴は、鮮やかな色で印刷できることです。
色の表現方法はCMYKの掛け合わせ、または特色となり、よほど難しい色でない限りイメージ通りの印刷が可能です。
特に食品パッケージでは、商品を美味しく見せるためのシズル写真がデザインによく入ります。グラビア印刷は写真でも鮮やかに再現してくれます。
また印刷部分はラミネートによって他のフィルムと貼り合わせれるので、外界に触れることもなく印刷が濡れたり擦れたりして霞んでしまうということもありません。
大量生産の場合、コストメリットが出せる
グラビア印刷は印刷スピードも早いため、大量に印刷する場合は効率がとても良くなります。
加えてパッケージのサイズによっては2面印刷もできるため一度に大量のパッケージを製造でき、原紙をより余すことなく使用できます。
版代がかかる
版がすぐに壊れてしまってはいけないので、版はしっかりとした金属で作られています。
加えて印刷は各色を掛け合わせるため、一つの商品でも使用する色数分の版が必要になります。そのため版代がかさみ高くなるというデメリットもあります。
基本的に版代は初回のみかかりますが劣化や保存スペースの問題もあって一定の期間が経つと版落ちとなり、リピート時に版の作り直しというケースも考えられます。
小ロットには向かない
グラビア印刷の場合、4,000m原紙が最低ロットです。2,000mもできなくはないですが、効率を考えると基本的には4,000mが最低ロットになります。
そのため、一度の印刷で出来上がるパッケージの量は商品数にして数万個になります。
グラビア印刷で出来上がるロット以下の販売数を計画している商品では、コストがかかってしまいパッケージが余ることもあり得ます。
デジタル印刷のメリット・デメリット
バリアブル印刷(可変印刷)ができる
バリアブル印刷(可変印刷)とは、同じロット内であっても違うデザインで印刷を行うことです。
グラビア印刷の場合は版に彫られたデザインのみ印刷しますが、デジタル印刷の場合データから直接印刷するため同一ロット内で様々なデザインを印刷することができます。
そのため、デザインを何パターンも試したい場合やパーソナライズしたデザインを印刷したい時など応用を効かせることができます。
版代がかからない
デジタル印刷は版が不要のため版代がかかりません。加えて版落ちや経年劣化の心配も必要ありません。
版代がかからない分コストを削減することができます。版代によるコスト削減で費用を節約したり、削減できた分だけデザイン費用に回すなどメリットのある工夫が可能です。
グラビア印刷の場合デザインを変えるときは版の彫り直しが必要ですが、デジタル印刷はその必要もありませんので気軽にデザインを変更することができます。
小ロットに向いている
グラビア印刷と比べてデジタル印刷は小ロット商品に向いています。
グラビア印刷は印刷の仕組み上、1回の印刷で大量のパッケージが出来上がります。対してデジタル印刷はグラビア印刷でできないような小ロットでも生産をすることができます。
パッケージが余ってしまう、商品の生産数が少なくてこだわりのデザインが実現できない場合などデジタル印刷を活用できるかもしれません。
対応できる印刷メーカーが少ない
食品パッケージのデジタル印刷の場合、対応できるメーカーが少ないという課題があります。
食品を包むパッケージのため衛生的な環境が必要なこと、専用機械の導入が必要なことなど、デジタル印刷を行うためにはしっかりとした環境や設備が必要です。
食品パッケージはグラビア印刷が主流のため、全てのメーカーがデジタル印刷に対応しているかと言ったらそうではありません。
こんな時にデジタル印刷がおすすめ
デザインのABテストを行う
どのデザインが売れるか、どのデザインが消費者に受け入れられるかなどデザインのマーケティングをしたいときにデジタル印刷が活躍します。
バリアブル印刷をすることによって、試したいパターンの分だけデザインを印刷することができます。
版が不要なので試してみたかった挑戦的なデザインでも思い切って試すこともできるのではないでしょうか。
デザインにバリエーションを持たせる
中身が同じ1つの商品であってもデザインを変えてバリエーションを持たせることで消費者が楽しめるパッケージを制作することができます。
パッケージに印刷されているキャラクターを変えてみたり、メッセージを変えてみたり、他の商品と違うバラエティに富んだ商品は消費者の目をひきます。
季節やコラボなど短期間の企画商品
季節限定で販売する商品や短期間のコラボ商品など、短いスパンで販売を行いたい商品もデジタル印刷を活用することでより開発がしやすくなります。
また消費者の方から送られてきた写真をパッケージに印刷したり、オリジナルメッセージを印刷したり、パーソナライズされた商品もつくることができます。
デジタル印刷を導入することで、これまでなかったような商品企画を組むことができるようになり商品開発の幅は確実に広がります。
デジタル印刷は中部流通にお任せください
デジタル印刷とグラビア印刷にはそれぞれメリット・デメリットがあります。
2つの印刷方法の特性を理解して適切な方を選ぶことによって、パッケージ制作の効率をあげることができます。
今までデジタル印刷を使ったことがない方も、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
中部流通では、食品パッケージのデジタル印刷も行なっています。
小ロットでパッケージを作りたい、バリアブル印刷(可変印刷)でデザインにバリエーションを持たせたいなど、課題やお悩みをお持ちの方はぜひご相談ください。
まとめ
デジタル印刷とグラビア印刷を徹底比較!それぞれのメリット・デメリットを理解して食品パッケージ制作にデジタル印刷を活用しましょう
デジタル印刷かグラビア印刷か、適切な印刷方法を選ぶことで効率的な食品パッケージ制作が可能になります。
デジタル印刷には、バリアブル印刷(可変印刷)ができる・版代がかからない・小ロットに向いているというメリットがあります。デザインのABテストを行いたい時や、バリエーションを持たせたり季節やコラボなど短期間の企画を組みたい時など、様々な場面でデジタル印刷を活用することができます。
キーワード
- デジタル印刷
- グラビア印刷
- バリアブル印刷(可変印刷)